笹田 明美
2026年5月25日 11:21:21
深い琥珀色を眺めてるだけで、昔ながらのシェリー樽の気配がむんむんしてくる。 口にふくむと、マラスキーノチェリーの果汁みたいな甘酸っぱさがじゅわっと広がって、すぐに潮っぽいしょっぱさと昆布だしのような旨みが重なってくる。ダムソンジャムのどっしりした黒系果実、ビーフストックっぽい深いコク、それから退廃的で見事なダークチョコレートがどっと押し寄せる。古いワインセラーの土間を思わせる湿った空気感も漂ってる。 ハーバルでスパイシー、黒胡椒やマギーみたいなヒリッとしたアクセント。ブラックオリーブのニュアンスに、熟成タバコの葉、ウォルナットオイルのねっとりした質感。飲み込んだあともずっと、ビターハーブリキュールのような苦味と、凝縮したダークフルーツがうねりながら続く。喉に落ちる瞬間がスリリングに長いんだよね。 まるで失われた世界のウイスキー。スコッチではもう絶滅したプロフィールっていうか、これこそ抗モルトポルノ派に喧嘩売るような、深くて複雑で、甘くて苦い、とんでもないやつ。結晶化したフルーツのコンフィと甘いダークコーヒー、ベルベットの舌ざわり。チェリー風味の咳止めシロップを連想するけど、それが不思議と悪くない。濃度と深みが半端じゃなくて、時間とともにどんどん拡大していく感じ。瞑想用の一杯。







